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「私の我儘に答えてくれた先生が居なければ、私たちはこうしてここに居ることもなかった。
私たちがこうして居られるのは、先生と、依頼をくれたお客様のお陰なのよ」
本郷は、弦を指で弾いた。
明衣は黙って聞いている。
いつの間にか、五月女や城ヶ島まで話を聞いていた。
「良祐や明衣ちゃんが入ってくれて、私本当に嬉しいんだから。
仲間が居るって、素敵よね」
にこりと、綺麗な笑顔で本郷は言った。
五月女はわずかに赤面しながら、照れを隠すためか大声で右手を挙げる。
「当たり前ですよ!俺は先輩にずっと付いていきますからね!バンコンも目指せ優勝!」
明衣はそれを見て真似をする。
「あたしだって!入部した以上は最後までやるし、バンコンだって優勝だし!」
すると、本郷が手を三人の前に出した。
それを見て、五月女と明衣は顔を見合わせながらそれに手を重ねた。
城ヶ島も控えめに重ね、無理やり連れて来られた楡も地味に重ねた。
「バンコン優勝ー!」
「「「あぁぁーい!」」」
「…何なのその微妙な掛け声……」
楡は一人呟く。
「つーか、バンド名決めんの忘れてた★」
「オィィィΣΣ!!!!」
本郷の爆弾発言に、明衣は眼球を飛び出させた。