時刻は10時



平日の夜と言うのもあってか四車線の道路がまるで川のように暗かった



風哉はそんな産業道路の歩道を歩いていた



生温い風が風哉の頬を撫でる



しばらく歩いていると道路から少し入った場所に古びた建物が姿を現した



古びたと言うより廃墟と言った方が正しいだろう



風哉はその廃墟へと足を踏み入れた



錆び付いたシャッターが風に煽られガシャガシャと音を上げる



風哉はそのシャッターに手を掛け勢い良く開けた



………