ニッコリと、子供のような笑みを浮か
べた咲は、私の夢や弱みを知っている。

それを利用して彼女は、あの場所に私を
連れて行こうとしているようだ。


「そしたら、獣医になるっていう佐奈の
 夢も叶うし。

 何より、獣医やってる佐奈のお父さん
 も、喜ぶんじゃない?」

好奇心をもってしまった咲に勝てない事
は、私自身が一番よく知っている。

こうして、結局私と咲は、帰り道にあの
不気味な小屋に纏わり付いているウワサ
を検証しにいく羽目になったのだ。