佐奈は思った。

私は15歳。バッグの中の猫も、人間の
ときの姿は15歳。

冒険にはふさわしい年齢であると。

7月末の太陽が照りつける。

熱風が吹く。

駅までの道をかわいい赤い帽子を被って
歩いていきながら、

佐奈は顔も知らない祖父母を助ける使命
感に身体を緊張させながらも、

その若い新鮮な心のどこかで、この冒険
の旅への、非常に深い愉しみを感じて
いるのであった。

      第一部・完