「名前なんて、知らないわよ。野良猫
 だったんだから」


嘘は、言っていない。

突然現れて、突然消えた猫だったの
だから。

だけど、目の前の幽霊は私の言葉に首を
振った後、更に言葉を繋げる。


「いや、君は知ってるはずだよ? 
 だって、名前をつけたのは君なん
 だから」