俺は笑って瞳衣の頭をくしゃっとなでた。


ちょうどなでやすい位置に頭があるから、ついつい手が伸びる。


小さくて、俺の手のひらにすっぽり入る、瞳衣の頭。



「尊さんにあの時会わなかったらあたし……どうしてただろな、今ごろ」

「……」


答えを必要としていない問い。



「いろいろあったな」

「……うん」


「もう、大丈夫か?」

「……わかんない」


瞳衣は、そう言って無理に笑顔を作ると、細い肩をすくめた。



俺も黙ってコーヒーをすすった。