『トントントントン』


心地よいキッチンの音で

アタシは目を覚ました

懐かしいまな板の音を聞いて

キッチンへ向かおうとしたら

部屋の仕切りにしてある

カーテンを見て

昨日の事を思い出した


(あ~昨日...泊めたんだ!)


カーテンの隙間から 

キッチンを覗く

するとキッチンに昨日の

真山薫が立った


(何か作ってんのかな?

でも冷蔵庫に...

何かあったっけ?)


アタシは昨日

紅茶を飲む時に開けた

冷蔵庫の中身を思い出してた


(確か...味噌と...

タマゴが3つと...いも?

あ~生ワカメがあったっけ)



カーテンを開けると

味噌汁の良い匂いがしてきた

『おはよう!』と声がした

同じように挨拶を返して

「使えるものあったっけ?」


そういうと笑いながら


『干からびたワカメと

いつのか分からないタマゴと

少し痛んだジャガイモと

賞味期限は切れてない

味噌あったよ』


テーブルの上には


ふんわりとした

美味しそうな玉子焼き

そして味噌汁が添えられた

ご飯も炊いてあり

久しぶりの朝ごはん

いつもは紅茶と

前日に買うパンを

食べて学校へ向かう


『お米は冷蔵庫に
 
少し残ってたから使ったよ』


テーブルに

腰掛ようと床を見ると

きれいに畳んだ布団があった


(良い人 拾ってきたみたい)


ポケ~っと

立ってるアタシを見て

微笑みながら


『渚ちゃん 朝ごはん食べるよ』