『渚ちゃんって...

俺に惚れちゃったの?』


微笑みながらアタシに言う

(この笑い顔...

何だか弱いんだよね)


「惚れてはないけど...

もしもだよ!」


アタシは冷蔵庫から

冷たい紅茶を取り出すと

食器棚から

2つのグラスを持ってきた

紅茶をグラスに注ぎ始めると


『俺...

渚ちゃん嫌いじゃないよ

可愛いし 優しいし』



「それって...

昨日言ってた情じゃない?」


『あ~そうかもだけどね

一緒に暮らしてるとさ

情って出てくるんだよね

でも...

それは当たり前のことだと

俺は思うんだよね』



「もしね...もし

薫ちゃんが

アタシを好きになったら

告ったりすんのかな?」


少し考えると薫ちゃんは答えた


『俺が渚ちゃんを

本気で好きになったら

多分...家出て行くかな』



「そうなんだ」

アタシは少し

残念そうな顔をする


『じゃないと

渚ちゃんに悪いかな

置いてもらった恩で

好きになったのかなとか

思わない?』


「あ~それはあるかもだね」


『俺さ...人好きになると

その人の事しか

考えられなくなるんだ

だから嫌でも少し離れてみて

自分の気持ちとか

考えるかなって

男でもさ 

女なら誰でも良いとかって

思わないヤツもいるんだよ

まぁ~その時にならないと

本音は分からないかな』



「そうだよね」


(そか~

好きになったら出ていくのか

嬉しいような 

寂しいような...)