『いや...どちらかが好きに 

ならないとも

限らないだろうし

片方だけが好きになった場合

一緒に暮らすと

気まずくならないか?

それに告った場合とかね』


アタシは突然言われた言葉に戸惑う


「ん~それはあるよね

で?

薫ちゃんは彼女いるの?」


食器洗いを終えて

洗濯機を覗きながら


『いや...

もう2年くらいいないな

それに今は

女より仕事探さないとね

ちょっとベランダ行ってくる』


そう言うと

浴室からの短い通路を

通ってベランダに出る薫ちゃん

アタシは何をしてるのだろうと

自分の部屋から

見えるベランダを見る

薫ちゃんは

ジーンズのポケットから

クシャクシャになったタバコを

取り出し火をつけた

アタシは友達が来た時に出す

灰皿をベランダから

薫ちゃんに渡した


「これ使っていいよ」


そう言って灰皿を渡した時

少しだけお互いの手が触れた