「両親を亡くされて

辛かっただろうな

お墓参りに行く時は声を

掛けてくれると有難いが」



『はい最初に渚さんと報告して

あらためてお誘いしますね』



まさか親が同棲を

認めてくれるとは

思っても見なかったな

ふとキッチンを見ると

姉は背を向けて泣いてた


薫ちゃんが

正直に話してなかったら

付き合いを認めてくれ

なかったのかもしれないね



夕方になって

父さんは薫ちゃんが持って来た

お酒を飲みながら

「一緒に飲まないか」と

言ったけど

『今日は渚さんとも

話したいので次に来た時に

一緒に飲みましょうそれまで

残しておいて下さいね』と


笑顔で答えた　


そして姉ちゃんからは

「渚をよろしくね」と言われ

『分かりました』と

返事をしてた



家の玄関で

父さんと姉ちゃんに見送られ

母さんの車に

乗って駅へ向かった


久しぶりに会えた家族と

離れるのが寂しくて

アタシは走る車の中で涙が出た

それを見て

母さんは分かったようで


「いつでも２人で　

遊びに来なさいね

次は泊まる用意で

来ていいから」と


母さんもアタシが

帰るのが寂しいようで

駅の

ロータリーの手前で降ろした

「気をつけて帰るのよ」

そう言って


母さんの車は走り去った