あの日以来、些細な出来事ではあったけれど俺は正木とあまり話をしなくなった。
別に正木が悪いんじゃない…
分かっているはずなのに冷たい態度を取ってしまう自分がいて。
シェイラとは相変わらず、だらしのない時間を毎日のように過ごし欲に溺れるダメ人間になっていた。
「あたし学校辞めたいなぁ…」
俺の腕の中でシェイラが言う。
「辞めてどうすんの?」
「アメリカに留学して歌の勉強するの♪」
また夢のような話を懲りずにしてる。
「へぇ〜…いいね、夢のある奴は」
夢なんて俺にはない。
ピアノにすら最近は、触れていない…