「かの子…?
ちょっと、かの子ったら聞いてるの?」

館を気にしている時は、友達の話も聞いていません。

「ん?
エヘヘ、ごめん」

「んもう!
ところでかの子、昨日の算数の宿題やってきた?」

「うん、ちゃんとここに…?
あれっ!?
あちゃあ、机の上に忘れてきちゃったみたい」

「どうするの?
今から取りに帰ってたら遅刻しちゃうよ」

「うん…
しょうがない、居残りだぁ…」

かの子のクラスでは宿題を忘れると、授業後に居残り勉強をさせられるのです。

その日宿題を忘れていたのは、かの子だけでした。

「あ〜ぁ、私だけかぁ」

友達が帰り、かの子は教室に一人ぼっちになりました。

居残り用プリントの問題を解いてゆくのですが、

「はぁ…」

こういう時って時間が経つのが早いんですよね。

プリント問題を終え、かの子が学校を出る頃には辺りはすっかり暗くなっていました。

「おなかすいた〜!
早く帰ろっと」

急ぎ足で帰路につく、かの子の足がふいに止まりました。