「いってきまーす!」
女の子が元気に出かけて行きました。
名前は[かの子]。
小学3年生。
これから友だちと
学校へ向かうところです。
かの子が学校へ向かう道に、ひときわ目につく古い館があります。
もう誰も住んでいないようなのですが、何か妙な気配が漂っているのです。
もしかして誰かがいるんじゃないだろうか…
そんな感じ。
「昔、ここで殺人事件があったんだって」
「え?
私は有名な貴族が、お忍びで遊びに来てた場所って聞いたよ」
「違う違う。
ここは異次元の入り口で、入ったら2度と出られないんだよ」
ここの前を通る人達は口々にこんな噂をします。
…ほとんど根も葉もないウワサなんですけどね。
でも誰もがこの館の話をする時、館のコトをこう呼びます。
[オバケ屋敷]って。
かの子は、このオバケ屋敷にとても興味を持っていました。
「いつか中に入って、ウワサが本当なのか確かめてみたい」
だから新しい発見がないか観察しながら、いつも館の前を通ります。