「ハァ…ハァ…息が…」



酸素が間に合わないくらい息が上がった俺が、走ってきた場所。


・・・・学校。


校門のところで、膝に手をつき息を整えていると…



「あれ?何してんの大チャン。帰ったんじゃなかったっけ…。」



サッカーボールを両手に抱えたジャージ姿の瞳。


サッカー部のマネージャーをしている瞳は、いつも最後までいる。



「戻ってきた。」


「何で…」



聞きかけた瞳は、俺の目線の先に気づいて、やめた。



だって俺が保健室の窓から見える、ある人物を見つめていたから。



すると、瞳が…



「あ、たしか部室の救急箱のテーピングきれてたなぁ…。あ、大チャン保健室で貰ってきてくれない?…“ついで”でいいからさぁ?」



ニヤッと可愛く笑ってそう言った。


そんな瞳に俺は、すました顔で…



「仕方ねーな。貰ってきてやるよ。
…“ついで”にな!」



そう言って校舎に向かって走り出した。