もうかれこれ3時間ちかくたっただろうか、西に日が傾き初め空はオレンジ色の虹がかかったような放射状の光の帯がどこまでも続いた。それは辺りの家の屋根に反射したり木の葉に吸い込まれるように光は乱反射していた。
そしてどこから初まったのかわからない柔らかい風が吹き初めた。その風は渇いた土の香りをばらまいた。



亮太はそな風の臭いを嗅いで、小学生頃のことを思いだした。3、4年生の頃ことを。それは、町内会のソフトボールの試合に負けて泣きながらの帰り道、父親がそっと肩を抱いてくれたことを。その時の父親の手の平の温もりを宝物ように大事な思い出で心の奥に大事しまってある。その頃の父親はまだ議員ではなく市の職員をしていたので、ずーと家にいて亮太と接する時間がたくさんあって町内会の行事などもすすんで出ていた。




心の中にある思い出の扉が開き沸々と沸き上がって亮太は暖かなものに包まれていた。