ぶた先がつかつか早歩きで亮太のそばまでやって来て、亮太がやばいと思った瞬間、本能的に顔を反らした。瞬間回りが暗くなり、ひざから崩れ落ち落ちそうになった。反らしたのが原因でブタ先に火を点けさせてしまい、殴られては、後ろに下がり、殴られては後ろに下がりして行くうちかなりの距離、移動していた。殴るられている間何も考えられず、ブタ先の顔と飛んでくる手を見ながら後から来る頬の重い痛みを感じながら早く終わらんかなあと亮太は心の中で呪文のように繰り返し呟いた。




亮太は10発近く殴られた。




殴られ終わった瞬間、亮太は何も感じなくただ涙だけが流れた。それは、意識の向こう側にある触れてはいけない部分に触れた感じで、亮太の心の奥の方でかたかた音たてて崩れて行くなにかがあった。亮太は頬の熱くけだるいぼーとした痛みと、何も感じない心の痛みを抱えながらみんながいる元の場所に戻った。




ブタ先は説教の続きをしており、もう全てがもうどうでもよくなった亮太は、下を向き込み上げてくる怒りを抑えていた。