部室の中の臭いはなんともいいがたい臭いがしていた。




男臭い汗の臭いとグローブに付けるオイルの臭い、滑り止めに使うバットのグリップに着ける杉ヤニが混ざった匂い。




亮太たちにとって、これが青春の匂いになってゆくとしたら、それは、悲惨なまるで純情な蟻地獄のような思い出にしかならず、大人になった時のことなどこれっぽっちも考える余裕などなかった。