「あつー…」
夏休みも終わりを向かえる頃、浅倉春菜は机に向かいっぱなしで、課題をやっていた。

「あー…もう駄目、夏紀に助けてもらおー…」

春菜の頭にぱっと浮かんだのは、加藤夏紀。
春菜の大親友である。
夏紀は、頭が良くて、スポーツも出来て、なかなか可愛いので結構モテる。

春菜は、小柄な体格で、
ダンスが好きで、
男女ともなく好かれているごく普通の女子だ。

「いきなり家訪問しちゃおっかな」
馬鹿げた事を考えながら
夏紀に電話したのであった。

プルル…プルル…ガチャッ
「もしもし…」
「あ!夏紀久しぶりー、春菜だよ」

春菜は夏休み、家に籠りっぱなしだったため、
友人が久しぶりに思えたのである。
春菜は、ダンス部部長。
部長なのに夏休みの部活に行ってない、っていう悪い子だ。

「あ、もしかしたら夏休みの課題終わってない?」
「わーすごい、当たっちゃった」

電話越しには夏紀のため息が聞こえ、

「ため息ばっかついてると幸せ逃げるぞ!」
「ため息つかせてるのはどっちよ…」

夏紀は最近、オバサン臭くなったなぁと春菜は思ってしまった。

「今から家行くわー」
「え、うん、いいけど…お兄ちゃんいるよ?」

春菜はずっと、夏紀が1人っこだったと思い込んでたため驚いた。
「ええっ!兄貴いるの!?超見たいっ」
「はいはい…、待ってるからいつものアレ持ってきてね」

ぶち…、っと電話を切る
いつものアレとは、
夏紀の好きなイチゴチョコ。
夏紀は、甘い物を食べても余り太らないらしいのでいいなぁと春菜は、いつも思うのだった。