「現場には行った?」







私は、顔を上げることができなかった。





ただ、小さく首を横に振った。






「菜々・・・」


秋が私の顔を覗き込んで微笑んだ。



「花、届けに行こう」


秋の必死さが伝わったような気がした。




それが精一杯の言葉であることがわかった。


私には、小さくうなずくことしかできなかった。




秋の顔を見上げると、

目が合った私に微笑んでくれた。


秋は先に立ち上がると、

私に手を差し伸べてくれた。


私はそっと手を重ねた。