「見え透いた嘘つきやがって。いちいちムカつくんだよ、アイツは!」

「……え?」

先輩らしくないその言い方に、あたしは驚いた。


「1人で格好つけやがって……。つい、カッとなって言っちゃったよ。お前はホントにそれでいいんだな?って。お前がその気なら、俺が美夕ちゃんを幸せにするからな!って」

笑ってはいるけれど、先輩の口調は徐々に激しくなっていった。

「あいつ、顔色ひとつ変えなかったよ。『俺は今夜美夕ちゃんを自分のものにするから、絶対に邪魔するな』って言っても、黙って笑うだけで」


──自分のものにする。

その言葉に、あたしは反射的に身体をこわばらせた。


だけど、先輩はそんなあたしを見て、声を上げて笑った。

「あーっ。その素直すぎる反応、ちょっと傷つくなぁ」


そして。

先輩は自分の手をズボンでゴシゴシこすった後、あたしの頭を優しく撫でてくれた。


「安心して。ソラにはあんなこと言ったけど、美夕ちゃんが嫌がるようなことはしないから」