自分の気持ちに正直になると、あたしはどこかホッとしたみたいで。

やだ……また、目頭が熱くなってきた。


「キラちゃんから、きついこと言われたんだ?」


きついこと……

キラの口から次々と出た、信じられない言葉の数々が蘇ってくる。

『悲劇のヒロインぶっちゃって、ばっかみたい』
『こっぴどくフラれれば良かったのに』

そして、

『それ以上言ったら、私、死んじゃうよ?』

そう言いながら、どこか遠くを見つめるキラ。
そしてそんなキラの喉元で光るナイフ──


目をつぶると、ポロポロと、大粒の涙が落ちた。



「さっきの様子だと、キラちゃんがソラを手放すとは思えないし……前途多難だね」


「先輩、あたし……あたし……」

先輩に、何か伝えたいんだけど、でも、うまく言葉にならない。


先輩は、そんなあたしにそれ以上何も聞こうとはしなかった。

ただ、「もういいから、黙って」って、あたしの言葉を遮って。


「こんなに辛い思いをして……それでも、美夕ちゃんはソラが好きなんだね」

そんな言葉と小さなため息がひとつ。


顔を上げると、先輩は穏やかで、でもどこか寂しそうな顔であたしを見つめていた。