「ほら、美姫」


俺は美姫の手をさっきよりも強く握った。
絶対に離さねぇから。


「…ねぇ、隆幸。美咲様、追ってきてないわ」


「危ねぇな」


あいつが追ってこないってこたぁ、次の作戦にでも移ったな。


「少し休まなきゃ、体持たないわよ」


仕方ない。休むか…
友紀を降ろして、座った。美姫も俺の隣に座った。


「好き…」


「んなもん知ってる」


「っ…」


泣くなよ。困るじゃねぇか。
今までの俺だったら、困ることはなかった。

いつだって無視をしていた。俺には関係ねぇ。勝手に泣いてる。

初めて、女の涙に困る俺。カッコ悪…


「あ~、泣くな」


美姫の頭をがしがしと撫でた。
笑えって。


「だって…」


「お前、いつものドSはどうした?奴隷のようにこき使っていたお前は」


「はぁ!?最低っ!」


バーカ。お前を笑わせる為に言ったんだよ。まぁ、泣いてほしくねぇから言っただけ。

結果的には、怒ってるけどな。

「なぁ、美姫」


「知らないわよ、あんたなんて」


あー、なんか久しぶり。久しぶりにお前の反抗聞いた。