―行かせて。会いたい娘がいるんだ。約束なんだ。大丈夫。もう働ける年だし、国籍はまだ日本だ。―



そう言って、オレが1人でも行こうとしたので、断りかけていた桜翔の客員教授の席に座った。


苦手な日本語を覚えて、ハーバード大学の助教授の椅子まで捨てた。



「どうして帰りたかったの?」


「約束を果たすためだよ。絶対、と約束したからね。」



たとえ君が忘れてしまっていても。


オレの中では永遠に。



「いつか、海乃を思い出せたらいいな…」


「オレも早く思い出して欲しいところだよ。そうそう、ここは分かるだろうけど2階だよ。1階にはえーと、相川先生が住んでいるはず。」



芹沢はあっ!相川の存在を忘れてた…


と言って、ちょっと落ち込んでいた。


芹沢は先生が苦手そうだもんなぁ。


オレも正直苦手だ。


何考えているのか、分からないし。(←人の事言えない。)