☆〈翔〉☆


「そこがキッチンね。それで、浴場がここ。鍵はちゃんと閉めて入んないとダメだよ。」


「ねぇ、ここ、アパートじゃなかったっけ?」


「正確には学園施設だね。」


「気のせいかもしれないけど…もしかしてこれワンフロアぜんぶが一部屋…?」


「まぁ、エリックも客員とはいえども教授だしね。日本って待遇いいよね。」



芹沢は何を恥ずかしがっているのか、オレの後ろにくっついている。


周りをキョロキョロ見回してビクビクもしているようだ。



―学校は日曜なので休みだし、ジュニア、寮を案内してやってくれ。―



そう言ってエリックは大学の研究室に行った。


まったく、人まかせなのにいつも途中まで手を出してくるんだから。


もう35歳なら、ちょっと落ち着いて欲しい。



「エリックは…どうして日本に来たの?」


「オレが、帰りたいって言ったから。ちょうどその時桜翔大学からの誘いもあってね。」