ちょっと痛いがこれぐらいなら、と思って雑炊をすくうためにレンゲを持った。



「…っ!?」



メチャクチャ痛くなった。


これが今日1日ずっと続いていたのに何故だか今の痛みはこれまで負ってきたどの傷よりも痛かった。


海乃が心配してオロオロしている。



「だ、大丈夫!?オレがやったほうがいい?」


「…それは絶対やめて欲しい。」



情けなさすぎて涙が出そうになるだろうから。



「自分の事は自分で面倒見れる。あなたは私のことなんて気にしなくていいの。」


「そうはいかないよ。芹沢をここに連れてきたのはオレだ。責任があるんだから。」



そんな責任ならいらない。


そんな優しさならいらない。



「まぁオレがやりたいっていうのもあるけどね。」


「あなた変。」


「よく言われる~特にエリックとかに。」


「彼、あなたをジュニアって読んでたけど。」


「あぁ…あれはね、オレ高校に入るまでエリックとアメリカにいたんだ。そこで呼ばれていた名前が『エル』」


「ひょっとしてあなたクォーター?」


「ご名答。」


「ハーフにしたら色んな色素が濃すぎるから…」


黒が薄いのか濃いのか曖昧な髪を始めとして顔立ちは欧米風なのに瞳は蒼が入っているのがわからないぐらい茶が濃い。