いや、1人いた。
私は相川を思い出した。
私の従兄弟。
私を救い出そうと身を投げうつ人。
彼は、サインしてくれるだろうか。
サインしてくれるとしても、効力を持つかどうか分からない。
従兄弟では血縁関係がうすすぎるかもしれない。
そもそも血縁関係なんてないか………
そんなことを考えていても、なぜか私は相川の部屋の前にいた。
インターホンを押して、じっと待つ。
インターホンから相川の声がした。
『ちょっ…なんでお前が!?』
「入れて。相川。」
それだけしか言わなかった。
だけどすぐに相川がドアを開けた。
かなり驚いた様子で私を見る。
「入れて…くれる?」
そんな相川を見て、私はそう言った。