★真希★



パッと夜中に目が覚めた。


なんか目の回りが痛くて、そこらへんにある鏡を掴んで顔を写すと、目を真っ赤にして、涙のあとがある顔が写し出された。




「私…泣いてた?」




記憶にない。


なら夢で泣いたのか。


だが、そもそも私は夢なんて見ない。



なら、なぜ。



そう思って意味もなく何かを探していると、カサッと、紙切れが手に当たった。




―手術承諾書―




その文字を見た瞬間、私は自分の右目を失うという宣告をされた事を思い出した。



フッと、自嘲気味に笑った。



一体誰が、この承諾書にサインしてくれるというんだろう。



私を跡継ぎにしたい、父か?


まさか。


あの人は私を処分したがってる。



そもそも、角膜の提供者が見つからなければ手術もできない。



緊急性が小さい私に、角膜が回ってくるわけない。




「誰も…助けてなんてくれない……」




それは、悲しくない。


悲しくなんかない。



どうせ、いつもの事なのだから。