もはや砂糖原液にしか見えないんですけど。
そんな砂糖コーヒーを海乃はチビチビ飲んだ。
こいつ、さては猫舌か。
「オレは…なにもできない。でも、真希を手放す事は…出来ない。」
「随分なわがままだな。」
「もともとわがままなんですよ。オレは。そうですね…そばにいるのは、辛いです。でも、そばにいるからこそ、穏やかに思えることもある。」
「青くせぇ…。よくそんなこと口に出せんな。」
海乃はやっぱり猫舌なのかチビチビコーヒー…いや、更に角砂糖をプラスした砂糖原液を飲んで、俺を見て言った。
「忘れてましたか?オレは帰国子女なんです。多少の甘い言葉ぐらいなら平気なんです。」
…いや、その顔で『甘い言葉』言われても…
実感わかないから。
まぁとにかく、海乃の乙女スマイルが戻っただけでもよしとするか。
いまだにチビチビと砂糖原液を嬉しそうに飲んでいる海乃を見て、俺はそう思った。