眉間に力を入れて、きっと彼をにらみつけていた。

彼はため息を吐くと、手首をつかんでいた手を離した。
束縛から解かれた両手で、わたしは胸を覆った。

彼は起き上がると、ベッドの端に腰掛けてうなだれた。

「そんなに嫌だったのかよ」

はっとする。
上半身を起こして、彼の表情を見つめた。

「俺は、このまま死んでも良かったのに」

床の木目を凝視しながら、低い声でぽつりと洩らした。

急激に後悔の念が襲ってきた。怒りはどっかに飛んでいってしまって。

「タツル君」

呼び掛けると、かすかに肩が揺れた。
お互いに裸であることを意識して、少しためらってしまう。
だけど、わたしは彼の背中に抱きついた。首に両手を回す。

「ごめんね。だって。恥ずかしいんだもん」

彼は何も言わなかった。

ごつごつとした手で、ゆっくりとわたしの手首をとらえた。