透明の雫が頬を流れてゆく。だが、汗と見分けがつかなくなってゆく。

シーツを爪を立てる様に握る指先を辿る。
両手首を掴み、頭上に押さえ付ける。

「見ないで」

空子さんは吐息混じりに小さく叫ぶ。
苦痛とそれとは別のものを感じている顔を、凝視する。
この女の中に自分がいることを味わいながら。

「今更」

残酷な欲望に支配される。体も、頭の中も、本能で占領されている。

叫びを懸命に噛み殺す唇に唾液を流し込むと、羞恥の叫びは止まらなくなった。
「ねぇ空子さん」

呼ぶと、薄目でこちらを見やった。自分がそこに映っているのを確認する。

「分かる?今、俺あんたの中にいんだぜ」

空子さんの瞳が揺れて、顔が火照ってゆく。

「四日前から、ずっと。
ここから、出たくない」

「お願いだから、もう出て」

半分泣きながら彼女が言った。

「イヤだ」

首筋に歯を立てる。噛み付きたい衝動を必死で押さえ、軽く歯を当てる。