大きく肩を上下させて、苦しそうに空子さんは息をしている。

瞳は虚ろで唇は半開きのまま、べとつく白い布の上に体を投げ出している。

両腕を頭上に力なく置いて、白い肌には汗が玉を作っている。

全力疾走した後の様に苦しげに呼吸を繰り返す唇を、自分のそれで塞ぐ。

彼女は、苦しさに顔を上下左右に振って離そうとする。
それを許さずに舌を歯茎に滑らせた。舌を入れるときに少し離れた唇の間から、唾液の糸がシーツに落ちた。

彼女は諦めて、たどたどしく舌を重ね合わせてくる。
唇を離したとき、眉間に細かなシワを寄せて熱っぽく見つめてきた。



優しくしてやりたいと、本気で思うのに。

壊れる程メチャクチャにもしてやりたいのだ。

湧き水の様に溢れ出るいとおしさは、どす黒い破壊の濁流に変わる。

ああ、狂っている。

せき止めるものが無い。
四日前の夜から消滅してしまった。
もう、何度したのか判らない。最初は覚えていたのに。

「もう、イヤぁ」