「瑠唯さんの代わり、つとまんなくてゴメン」


それだけが気がかりだった。

いや、それだけが気がかりだと思い込もうとしていた。


他に、しがらみなんて何もない。


俺を引き留めることが出来るものなんて、ない。


そう思い込もうとしてたのに、

合ってしまった真摯な賢杜の瞳に、心が揺り動く。

内なる心を、激しく揺さぶられる。



「君も、去ってしまうというのか」


ぽつりと落とされた言葉に、胸がぎゅっと締め付けられた。


「こんなときに何を言うんだと、思ってるだろう?

だけど……苦しいんだ。
君が出て行くということを考えただけで、苦しくて堪らない」