俺の目から視線をあからさまに外している賢杜を見て、俺はなんとなく予想がついた。
「俺が出てけばいいのかな……?」
つまりは俺をここに送り込んだあの男が、会社にばらしたと、そういうことなんだろうと察しがついた。
男が恋人だからとかそういうことが問題なのではなく、おそらく会社が借りているのであろうここに、得体のしれないガキを住まわせているということが問題なのだろう。
だから俺が出ていけば話は簡単に片付く。
そう思った。
賢杜がすがるような視線を向けてくるまでは。
「それでいいと、本当に思っているのか?」
低くて身を引き裂くような賢杜の声が、俺の心を揺さぶった。