「アスマって名前、珍しいよな」


突然そう言い出した賢杜に、俺は不思議そうな視線を向けていたようだ。


賢杜がそれに気付いて何か付けたそうとした時に、ケータイのバイブ音がした。


困惑した表情で着信に出た賢杜の顔が、ビジネスライクになる。


短い返事を繰り返しながら、青ざめていく賢杜の顔。


仕事で何かトラブルがあったのだろうか。


見守る俺を一度も見ずに賢杜はケータイを切り、黙って寝室へとこもってしまった。


話しかけられる雰囲気もなく、まるで俺がいることを忘れてしまっているみたいだ。


部屋にぽつんと残された俺は、仕方なく膝を抱えテレビの電源を押した。