保身のために口から自然と出た嘘に、賢杜はその腕の力を強めた。


「寂しかった」


全くの嘘ではないけれど、全てが真実ではない。


それでも賢杜は精一杯応えてくれようとしている。


俺の罪がまた一つ、増えたような気がした。



赦しを乞い、贖罪を押し付けるように、

深く深く

くちづけた。



賢杜のためらいがなかったのは、

二度目だからかそれとも俺への哀れみか。


わからないけれど、

唇が耳をかすって首へと触れていく所作に、ためらいはなかった。