紳士然としたフォーマルな表情を、乱してやりたくなる。



俺は賢杜に手を伸ばし、ネクタイを握りしめてグイと引き寄せ、乱暴に唇に噛み付く。



一歩下がった賢杜を逃さないように、それでも優しく両手で彼の頭を挟み、今度はそっと唇を唇で丁寧になぞる。



緩急のある口づけに、賢杜は一瞬意識が真っ白になったようで、

抵抗するはずだったらしい両手が、所在なくその場でとどまっていた。



出社する前の忙しい時間帯であるはずの今、彼の思考を一瞬だけとはいえ俺で占められたのがなんだか気分良い。


俺はそっと、賢杜の髪に指を絡ませた。