俺が片付けをしている間に、賢杜はスーツへと着替え終えていた。
ネクタイをきちっと締めたその几帳面さに、俺は心の奥が疼くのを感じた。
それは決して良いものではなく、どちらかといえばきつく蓋をしてしまいたい感情だった。
そこからじんわりと溢れ出したのは、己を恥じるような劣等感。
まるで、さっきまでの賢杜が何処かへ行ってしまったように感じ、俺自身がひどく矮小な存在であるかのように感じる。
だから、アイロンのあてられた白いワイシャツをぐしゃぐしゃにして、
そのしわ一つないスーツに、泥水のようなこの激情をぶちまけてやりたい気分に駆られた。