「なんか、つくるよ」


沈黙に耐えきれず、俺は賢杜に背を向け、冷蔵庫を開けて中を覗き込んだ。


「たまごがあるや。目玉焼きでいい?
ベーコンある?」


そう話し掛けて、背中にある気配がやっと動いた。


慣れた手付きでベーコンを探し当てた賢杜からは、先ほどの感情は見えなかった。


だが、思考までが浮上したわけじゃなかったようだ。


「目玉焼きは瑠唯の得意料理だったな……」


どんな女だよ。

いや、それは偏見か。

でも、なんとなく瑠唯という女の全てを否定したくて、アラを探そうとしてしまう。


なんだ、このイライラ。