「う…ん」
 
俺は目をこする。
そうして気づく口の辺りになにかがあることに…
 
(なんで…?)
 
俺は訝しく思い、脳を起こそうと頑張る。
すると、それ以上におかしな人影が…
 
「おや?ようやく起きましたか…」
 
言う。おかしな人物が俺の真横に突っ立っていた。
 
「おはよう。ではなく、おそよう…ですね」
 
その人物は俺を覗き見てそう続けた。
 
(な、なんだ?こいつは…)
 
俺の率直な感想…それももっとものはずだ。
こいつは少し透けていて、宙を浮いている。
黒いスーツに身を包んだ初老の男性。
もっともおかしいのは、右手に持つ大きくマガマガしい鎌だった。
 
「フフフ、なんだか驚いた顔をしてますね」
 
そういいながら唇の端をつりあげた。