「凛・・・大事にされてるな・・・」

車に乗り込みながら大水さんは、呟いた。

「どうして!?ママなんて、口うるさいだけだよ!?」

そう言うと大水さんは、手を伸ばして私の頭をグシャッと掴んだ。

「心配だったから、あんな風に言うんだよ」

クスリと笑って「早く寝ろな・・」私の頬をそっと撫でた。


大水さんの瞳が、優しくて・・・・。

大水さんの手が、くすぐったくて・・・。

私の胸の中が、ドキッとしたのと同時に痛かった。


私が、もっと大人だったら、こんな事無かったんどろうな・・・・。

何だか切ないよ。

こんな事思っても仕方がないのに。


私が何も言えないままでいると「じゃ~またな!!」そう言って、エンジンをかけた。

「ウン・・・」

「ほら!早く入んないと、心配するぞ!」

「じゃ・・・」

私は、大水さんに手を振った。

車がゆっくりと動き出し・・・私は、車の走り去る姿を見つめてた。


車の影が見えるか見えないかと言う辺りまで来た時、軽くクラクションが鳴った。

それは、静かな夜に一瞬響いた。



大水さん!?私が見てるのを知ってて鳴らしてくれたの?

いつまでも、家に入んない私に鳴らしてくれたの?

『早く帰れよ!』っていう意味?


たわいの無いそんな事なのに私は、ドキドキしてた。