昼間の天気が嘘のようにくっきりと花火が見える。
時季はずれの花火は、見事だった。
私達は、無言で1時間近く。
でも、厭きなかった。
だって今までこんなに花火を真剣に見た事がなかったから・・・。
どこが『大水さんの仕事』だったのか、聞くタイミングを失った今では、知る事が出来ない事だけど、お腹の底から響くこの音と私の目に焼き残るような閃光が私を虜(とりこ)にした。
一瞬でも目を離したらもったいない。
私は、違った花火が次々に打ち上げられワクワクしていた。
コレを最初から見せる為に、迎えに来てくれたのかな~。
駐車場に車が付いて、すぐだから・・・・。
連続して上がっていた花火が止んだ。
どんな顔で、学校で私を待っていてくれたんだろう?
私は、学校での事が思わずおかしくってフフッと笑ってしまった。
その時だった。
「ちゃんと見てな!」
私の肩に乗せられた手に力が、グッと入った。
『ド―――――――ン』
勢い良く一気に黄金色の火柱が、何本も上がった。
いさぎよい終わりを示す花火に、一斉に拍手が起きた。
私もそんな終りかたに、拍手をしていた。
大水さんは、そんな私を笑ってみていた。
「腹減ったな。何か食べに行こうか?美味しいタルトのお礼も兼ねて!」
花火のせいだったんだろうか・・・。
私の胸は、嬉しさでいっぱいになった。
タルト・・・食べてくれたんだ!
私は、ドキドキしながら少し先を歩く大水さんの腕に駆け寄って、自分から腕を絡めた。
今日だけは、こうしても良いですか!?