その大きな音にビックリして、身をかがめた。

何が起こったんだろう!!


割れんばかりの拍手も聞こえてくる中大水さんは、笑っていた。

「ご褒美!!」

屈託のないその笑顔の後ろに大きく広がる花火が身をかがめた私の目に飛び込んできた。

「きれ・・・い」

真っ黒なキャンバスに絵の具を投げつけたような鮮やかな花火に、私の心は、打たれた。



「凛に、見せてやりたかったんだ。スゴイだろ!」

大水さんは、かがみこんだ私の腕をググッと引っ張り起こした。

さっきまで『体が傾かないように』と車の中で必死に踏ん張っていた私の足が、よろめいた。

大水さんの手がさっと私を支える。

「凛・・・に。俺の仕事見せたくて」

「仕事?」

「ああ・・・ちょっと早い『花火大会』。」

腕が私の肩に回って、私は、ドキドキしていた。



どれが仕事なのかさっぱり理解できない私。

それを詳しく聞こうと思ったけど見上げた大水さんの顔が満足そうで、誇らしげで、嬉しそうで、キラキラして、私は、聞くのをやめた。


それに・・・・。

大水さんの満足そうに花火を見つめる顔が見られなくなるのかと思うと惜しくてたまらなかった。

そんな顔を見せてくれるのは、私の前だけのような気がして・・・・。

単なる自己満足かもしれないけど・・・。



花火が一つ打ち上がるたびに、私の心のモヤモヤが消されていく気がした。