ドンヨリとした空。
午後の授業も、終って私の気持ちも次第にドンヨリとしてきた。

放課後の廊下は、ザワ付いている。


でも、今日は尋常じゃないザワ付きようだった。

「ねえねえ~アレって、誰か待ってるのかな~」

「ウチの子のカレシだったりして~」

「ありえないよ~カッコ良過ぎ~」

廊下の窓に何人もへばり付くようにして生徒が、校庭を見下ろしていた。


「ねえ!凛!!」

美和子が廊下から飛び込んで私の腕を引っ張った。

「どうしたの?」

そう言いかけながら私も廊下に引きずり出され、生徒の視線の先を呼びさしながら小声で言った。

「アレ!大水さんじゃないの?」


来賓様の駐車場。

タバコを銜え人待ち顔のスーツを着た長身。


間違いない!!


女子高に似つかわしい場景にみんな興味津々だった。


完全に目立ってる!

私は、持つ物も取りあえず走り出した。