水族館の出口。

大水さんは、出るなりタバコに火をつけた。

私は、そこでようやく大水さんのシャツの裾を掴んだ。

「ごめん・・・なさい」

大水さんがもう逃げちゃわないように、シャツをギュって握り締めて言った。

タバコを大きく吸って「もう、あんなことするんじゃないゾ」。

私の頭をグシャッと撫でた。


私の心がホッとした。

こうされるのが・・・私は、スキ。

大きな背中を追っている時・・・私は、寂しかった。


「うん・・・」

だから、もうすねたりしない。

子供じみた事は、もうしない。




私が、まだシャツをギュッと握り締めて歩いてると大水さんが私の手を握った。

「歩き辛いからナ・・・」

照れたようなその表情。

私だけに見せてくれる、そんな表情。


私、大水さんの事がスキなんだ。


でも・・・大水さんは、どうなんだろう?