サイエンスコーポレーションから届いた小包。それは鉄斎からのコンタクトを取るために仕組まれたもの。これを使って慎次のいや、悠介の体に『血の起爆』を含んだ因子が入り込んだ。全ては鉄斎の仕組んだものに過ぎなかった。おそらく聖の血が目覚めたことで再び聖側に取り組むためだろう。


「あなたたちに仕組まれた『血の起爆』を止める方法は一つ。鉄斎を倒してデータを完全に処分すること。それをあなたと悠介。そして麻耶に命じます」


「ちょっと待ってくださいよ!今日僕は見てきましたけど、あそこに侵入する手段が無いですよ!」


 必死になる慎次を横目に玲菜の口元が緩んだ。


「大丈夫よ。もうすぐあの人が帰ってくるから」


 そう言うとドアの鍵が開いて玄関からただいま。と男の声がした。慎次と麻耶にとって聞き覚えのある懐かしい声。


 リビングに入ってきたのは背の高い、優しそうな顔をした男。白衣を着て中には白のYシャツに紺のネクタイ。下はスラックスでいかにも科学者という格好だ。


「良(りょう)太(た)さん!」


 新城良太。麻耶の父親であり、玲菜の夫。新城は彼の姓(せい)である。良太は科学者で若いながら最近完成したほとんどの技術に係わっている。もちろん、今回のサイエンスカンパニーの件も参加している。仕事の時はいつも相川(あいかわ)と名乗っているため鉄斎も分かってないとか。