「要は『血の起爆』は止められる。でも意外と大事な部分が弱いですね。ならサイエンスコーポレーションの電力供給を止めてから行動起こせばいいと思いますが……」


 慎次のもっともな意見に対して麻耶が首を横に振る。


「残念ながらサイエンスコーポレーションは独自ルートで電力の供給を行っているから停電は施設内に入らないと無理ね。どう頑張っても電気を落とす前に見つかってしまうわ。」


 そう言うと慎次は何も言うことが無くなった。再びリビングは沈黙が始まりかけた。


 今度は麻耶が。


「それで慎次は何で『血の起爆』を知っているわけ?」


「だってそれは鉄斎に会ってきたから……」


「じゃあ。あいつが言っていた解除の条件は『データと慎次の身柄の引き渡し』。でしょう?」


「なんで知ってるの?」


「何でって言われても……だって私たちも『元』聖の人間だもの」


 慎次は驚いた。だって苗字が違う。新城家は一度も聖とは関係がないはず。あるとすれば今の玲菜のことくらい。そして玲菜が口を開く。


「今まで黙っててごめんなさいね。私は聖の人間だったの。血を引いているのは私と麻耶。私たちに流れる聖の血があなたより遥かに薄く、それこそ聖特有の二重人格すら現れなかった。鉄斎はそれで私たちを追い出した。後はあなたの知っている通りよ。私はそれから鉄斎を倒すために二重人格のことを調べ、麻耶は正式な聖の子であるあなたとの接点として、鉄斎側から何らかのコンタクトを取るのを待った。そしてこの前……」