「これは?」


「これは慎次に関するデータです。彼はほんの少しですが二重(にじゅう)人格(じんかく)の傾向があります」


「二重人格・・・。」


「別名、解離性(かいりせい)同一(どういつ)障害(しょうがい)とも言います。慎次は幼少(ようしょう)時代(じだい)に両親から虐待(ぎゃくたい)を受けていました。恐らくそれが原因でしょう。彼が自分の自我(じが)を守るために彼とはまた違うもう一人の自分が表れてそれを一手(いって)に引き受ける。その際の記憶を持ってないことが報告されています。」


「続けてください」


「彼は十年ほど前に前の家から私の家に連れてきました。当初はかなりのストレスを持っていましたが今回のようにもう一人の人格が出てくることはありませんでした。慎次は多少乱暴(らんぼう)なことがあっても四人の生徒の骨を折る真似(まね)は出来ないと思います」


「しかし!今回それが起きている!目撃者(もくげきしゃ)はあなたも知っている木谷優貴君です。そこからあなたの麻耶さんを通して私のところに来ました」


 玲菜は思案(しあん)顔(がお)になって、


「すいませんが、麻耶と木谷君を呼んでいただけませんか?」