中学1年生のときの話である。

自分の頭が決して良くないことは知っていた。

いつも学年の順位だって丁度真ん中くらいで、パっとしない成績だった。

そしてきっと、このままパっとしない成績のまま中学校を卒業するものだと思っていた。
そんな感じで、中学最初の1年間が終わろうとした頃。

学生を苦しめるテストというものが行われた。
3学期の末のことなので「学年末実力テスト」という、
1年間に学習したことが全て範囲という忌まわしいテストである。

まあ、それまでのテストも全くと言っていいほど勉強せずに受けてきたので
今回もそんな感じでなんとかなるだろう、と考えていた。

まさかこの後、あんなに自分が後悔することになるなんて知らなかったのだから。

そんな調子でテスト1週間前になっても全く勉強しなかった。

ちなみに、私の勉強しなかった。というのは本当に「全く」なのだ。
普通の人の考えはテスト前に数十分勉強しても「全くしていない」
と言うらしいが(友達曰く)私の場合、その日に10分でも教科書を開いたら
「ああ、今日はよく勉強した」となるのだ。


と、まあ勉強してもしないでも時間だけは過ぎてゆくのだから面白いものだ。
気が付いたら、テスト当日になっていた。

そしてテスト用紙が配られて「始め!」の合図で問題を見た瞬間に。
見たことのないような記号やら、難しい水溶液の名前が書かれている。

実際には見たことあるのだろうけど、全く勉強していなかったので見たことがないように見えるのだ。