あの日
ひろとした初めての経験。
思い出す度に
胸が熱くなって
頭の中がいっぱいになる。
「宵~?何考えてるの?」
愛が顔を覗き込んできた。
「えっ!?別に何も~」
「そっかあ~」
不意に話掛けられて
頭の中が読まれた気がして
心臓がバクバクする。
「びっくりした~」
学校に居てもやっぱり頭の中はひろでいっぱいだった。
あの日 家に帰ってから
ひろに言われた。
「今日の事は忘れて欲しい」
あたしは納得したふりをしたけれど忘れるわけがなかった。
それからまたひろから連絡は無いけれど、あたしは平気だった。
ひろとの初体験ができたから。
あの日ひろは間違いを犯した。
それでもあたしは幸せだった。
あたしとひろが
結ばれた"事実"
ひろに彼女が居たって
これだけは譲れない。
ただ誰にも言えない。
愛にも言えない"事実"。