あたしは一度家に帰ってから
少し支度をして家を出た。

ひろの家までは
歩いてすぐだったから
歩いて行くことにした。


現像したばっかりの写真も
ちゃんと持って行く。


ひろはもう
友達だと思ってくれてるのかな?

なんか悲しいな..
でもこんなふうにそばに居れるならいいや。





ピンポ‐ン


ガチャっ


「宵?」

ひろはなぜかとっても驚いていた。

「本間に来たん...?」

「えっ冗談だったの?」

「いいから。あがって..」



あたしは無理矢理ひろの部屋に引っ張られた。


「はぁ~」

「...??」

「今家誰も居らんわ..」

「うん...」


引っ越ししてから
初めてひろの家にあがる。

「ひろ?なんで呼んだんよ..」

「俺は....来るわけないと思った。」

「意味わかんない.....」


自分がすごく惨めだった。


「俺..宵のこと振ったし...すぐ彼女作ったし..」

「...。」

「さっきはちょっといきなり過ぎてついつい言ってしまってん」

「うん」

「でも...いきなりやし..来るわけないやろって」

「ごめん...」

「別にいいけど..来たことは内緒な。」

「解ってるよ。」


嫌な沈黙が流れる。

新しいひろの部屋は勉強机しかあたしの知っている家具はなかった。


「あっ。宵..写真見せて~や」

「うん♪」


ひろは写真の一枚一枚にコメントを付けながら見ていた。


また沈黙が流れる。


聞きたくないこと
聞いてしまう。